六年がかり

やっと塀の屋根の半分まで木香薔薇が咲いた。
白とクリーム色の木香薔薇を塀一面に咲かせたいと思い立って六年目の春だ。
邪魔になるからと蔓を切られ、留守の間に剪定され……の連続の六年間だった。
薔薇一つ庭に咲かせるのにこの苦労。
が、我慢を重ねようやく塀の上に咲く可憐な木香薔薇を見る。
佳い春だ。