老作家と

ご老人と話す機会が有った。
珍しく、冗談も笑顔も少ないなぁ と思ったらここんとこ気持ちが沈んでいるのだそうだ。
今、殺人をテーマにした物を書いているので、殺人犯人の気持ちに入り込んでしまっているのだとか。
他人を殺したい程怨む、憎悪を募らせて行く過程を何日も考えていると、気持ちまで重くなって仕方無いのだそうだ。
そうか〜〜〜そう言うものなのか。
歌手が、歌に感情移入をして涙を流すように、作家も作中の人物に成りきるのか。
いつも飄々として感情をあまり面に出さない人だけに、感慨深いものが有る。
まぁ、花梨と時折バカ話をするのは、ご老人の気晴らしなのだろう。
とは言え、言葉の使い方、意味や歴史などを教わったりする有る意味では花梨の“師”でも有る。
本音を覗かせないご老人の、内面が垣間見えた気がした。
次回有う時には、明るい話題で笑おう。